会場には結構な人数が入っていた。
普段のイベントでの観客の入り具合が分からず、この日は多かったのか少なかったのか判断し兼ねるところだったが、あの狭い場所にしては高い人口密度と、後方に陣取ったのが災いし、ステージ上の4人の姿はあまりよく見えなかった。しかしその分、集中して歌が聴けたように思う。
イベント慣れはしているので、途中、軽いトラブルはあったものの、よく声も出ていたし、以前よりも堂々と歌っている印象を受けた。
MCは何となく行き当たりばったりのように感じられたので、もう少しネタを考えた方がいいと思ったが、その辺はご愛敬といったところか。
それでもやはり、歌には気になるところがあった。率直に言えば「上手くなっているのか?」という疑問が残ったことだ。その理由は、どの曲を聴いても声の出し方が一本調子で、歌詞や曲調の変化に応じた抑揚がほとんど無かったからだ。
選曲が元気で明るい曲ばかりだったというのもあるが、それでも、ただただ力一杯に歌っているだけのように聞こえ、途中、耳障りなところもあったりし、とても感情を込めて歌っているようには思えなかった。
「感情を込める=力強く歌う」とは限らない。自分たちなりに一所懸命にやっているのだろうが、そのあたりが空回りしているように感じてしまった。
自分で書いた詩、自分で作った曲なら、言葉に感情を乗せるのも素直にできるだろうが、S.H.I.Pの場合は全て人が作った曲を提供してもらっている、またはカバーしているので、実際に体験した部分も少なく、うまく感情を込めて歌うということが難しいのだろう。
仕方がないと言えば仕方が無いのだが、単に「仕方が無い」で済まないのが“プロ”である。
ではどうすれば良いのだろうか。
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