酒田という街の雰囲気、『浪漫亭』で語り合っていたスタッフやファンの方々、またイベント会場の雰囲気から感じたことがある。それは、SHIPの周りにいる人たちには、「SHIPというアイドルグループは、自分たちが楽しむためにある」と思っている人が多いのではないかということだ。
それは至極当然のことで、SHIPという存在があるから、今まで酒田にはなかった楽しみというものが増えたし、それによって元気付けられた人もいるはずだ。だからこそ、SHIPが酒田から離れ、手の届かない存在になってしまうことを嫌っている人はいるはずだ。「いつまでもSHIPというグループを通してワイワイ楽しく過ごしていたい」「いつまでも酒田のSHIPであってほしい」「いつまでも身近な存在であってほしい」と思っている人は多いだろう。
それは決して悪いことではない。しかし、メンバーの『全国展開』という希望もあるので、制作側としては「メンバー」と「地元住民やファン」の両者の思惑を考慮した上で、「地元にいながらメジャーデビュー」という、かなり困難な目標を掲げたのだろう。
オフィシャル・サイトでもよく言っている
夢は見続ける限り必ず叶う。夢は私達を見捨てません、夢を捨てるのは私達なのです。
という言葉は、メンバーと地元住民やファンとの板挟みの中、制作側が苦労して捻り出した言葉のように思う。しかし、その必死の想いには非常に共感を覚え、だからこそ夢を叶えてあげたいと思ってしまうのだ。
ただ、個人的には、酒田でのメジャーデビューに、それほど拘らなくてもいいように思う。酒田で活躍することでアイドルあるいは歌い手としての基礎を作り、その後、都心での活動にチャレンジさせてあげる、というやり方もあるのではないか。それで活躍ができれば、『酒田が生み出した』という自信や実績が残る。
そして今のSHIPが酒田を中心に活動しなくなったとしても、
『新たにメンバーを募集 → アイドルの卵として育成 → 外に送り出していく』
という形が延々と続いていけば、『メジャーを目指せるアイドルを育成できる街“酒田”』という、新たな魅力のひとつにもなるだろうし、また、若者が集まるきっかけになるように思う。
そういった、『アイドルの卵を育成するシステム』を構築することが、SHIPというプロジェクトが、今後、展開していくためのひとつの指針になる可能性があるのではないだろうか。
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