最初に担当したのはタレントMでした。かつてはテレビに映画にとかなりの活躍をしていた売れっ子アイドルだったのですが、僕が担当したときにはチョット人気もかげり、世間的にはあまり名前を聞かなくなってきていた頃でした。
そういった、あまり仕事のないタレントに専属の現場マネージャーが付くことは少なく、仕事が入る度にチーフマネージャーが付き添うか、または別のタレントを担当している現場マネージャーがヘルプで現場に付き添う形が多いのです。
「チーフが来てくれるのだからいいのでは?」と思うところですし、もちろん何の問題もないのですが、忙しいチーフは常にタレントにベッタリと付き添うことはなかなかできません。
また、タレントにもそれぞれ自分なりのやり方というものがあり、それは長い時間一緒にいないと把握できないものなので、チーフでは段々と細かな配慮ができなくなってきてしまうのです。
そこで専属のマネージャーにタレントのやり方、性格を把握させると同時に、長く付くことで気心も知れ、何かとやりやすくなるので、現場マネージャーがいてくれた方がタレントとしても、事務所としても仕事がしやすくなるのです。
しかし、たまにしか仕事のないタレントに専属の現場マネージャーを付けても経費の無駄となってしまうので、結局、仕事が入ったときだけチーフや他のマネージャーが現場に行くことになるのです。
そんな状態だったMに、かなり有名なミュージカルへの出演依頼がきたのです。
毎年夏にある舞台で、その年によって違いますが、1〜2ヶ月間の公演期間を設け、全国を回ることもあります。その年は東京と大阪での公演予定でした。
そうなると毎日が忙しくなるということで、新たに専属の現場マネージャーを付けようという話になり、ちょうど入社したてだった僕に白羽の矢が立ったのです。
僕はマネージャーになって最初の仕事ということもあり、非常に張り切ってました。
※上の写真は、僕が担当した当時(舞台での)のMです。
顔にモザイクが入ってますが、一応、肖像権を考えてのことです。誰か分かりますか? |