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3組目は、見た目からして70年代後半から80年代に活躍したアイドルそのままの『柚南(ゆずな)みゆき』。
1曲目からアイドル全開バリバリの、石川秀美『ゆれて湘南』。スタイルも王道なら曲も王道中の王道で、安田大サーカスが出てきて「ドーン、ドーン、ドーン、ベタベッタ〜!」なんて言いそうなくらい、ベッタベタでした。しかし、一部の客は大盛り上がり。かつては追っかけとして鳴らしたのだろうか、掛け声も堂に入っており、こちらもアイドル・ファン全開。ただ、掛け声が一節終わるごとに「がははははっ」と爆笑が起こるところが、チョット「?」だったが…。
柚南みゆき嬢、この子もどうやらグラビア・アイドルのようで、この80年代アイドル・ルックは、事務所側の狙いに間違いないだろう。完全な企画モノといった感じ。
しかし、いまやアイドル・ファンの中核をなすのは20代後半から30代の男性。なかには40代で現役の人もいる。もちろん若い男性も多いのだが、ファンを通り越してマニアやおたくに近い人たちの中心は30代だ。さらに、メジャーなアイドルではなく、秋葉原あたりでよくイベントをしているような“プレ・アイドル”をこよなく愛する人たちの中心は30代以上が多い。
この30代以上の世代は、70年代後半〜80年代にはティーンエイジャーとして青春時代を過ごした世代である。そして、ちょうどその頃活躍していたアイドルといえば、石川秀美、中森明菜、小泉今日子、シブがき隊、堀ちえみ、早見優、松本伊代などなど…※2、追っかけが熱狂的に応援していたアイドルがわんさかいた。その頃の血が騒ぐのだろうか。サンストにも鉢巻をした追っかけを見かけることができた。今は「マニア」「おたく(ヲタク)」と呼び方は変われど、“追っかけ魂”は健在のようである。
2曲目以降も同じ感じの曲が続き、最後はオリジナルのデビュー曲「Starlight Mirage(スターライト・ミラージュ)」を歌って終わった。このオリジナル曲、いかにもアイドル・ファンが持っている80年代アイドルのイメージを強く意識した感がある。
このままこのスタイルを貫いていくことが、これからの飛躍につながるかどうかはわからないが、個人的にはそれほど嫌いではない。曲も素直な感じで好感が持てる。しかし、事務所側はこの曲でメジャーを狙っているわけではないだろう。もし彼女がメジャー志向なら、何か別の展開も考えたほうがいいと思われる。しかし、グラビアが本業で、歌は2次的な活動だとし、あえてマイナー路線を狙っているのだとしたら、是非ともこのスタイルを貫いていってほしい。
※2:同時期には、あのスーパー・アイドル・グループ「おニャン子クラブ」がいたが、あのグループの出現で、それまでのアイドル像が変化したのは誰もが認めるところだろう。ここでは、柚南みゆき嬢と比較させるため、あえて登場させなかった。 |
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